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成年後見・遺言・相続

元気なうちにできること、亡くなった後に必要なこと。

民事法務とは、個人の暮らしに関わる法律上の手続や書類作成を扱う分野です。相続、遺言、成年後見はいずれも家族のかたちや財産の承継に関わるもので、法律上の要件を満たしていないと効力が認められなかったり、後の手続で使えなかったりすることがあります。

当事務所では、戸籍の収集、相続関係図や財産目録の整理、遺産分割協議書の作成といった書類作成を中心に、これらの分野を取り扱っています。以下では、それぞれの制度の基本的な考え方と、手続の全体像を整理します。

相続・遺言・成年後見の関係

この3つは別々の制度ですが、時間軸で並べると連続した流れの中にあります。

時期 主な制度 目的
判断能力があるうち 遺言、任意後見契約 自分の意思を将来に残す
判断能力が低下した後 法定後見(後見・保佐・補助) 本人の財産と生活を保護する
亡くなった後 相続手続 財産を相続人へ引き継ぐ

遺言や任意後見契約は判断能力があるうちにしか作成できず、判断能力が低下した後は法定後見に移行します。この「作成できる期間の制限」が、生前の備えを考えるうえでの前提になります。

相続をめぐる基本的な仕組み

相続人の範囲は法律で決まっている

相続人になれる人と順位は民法で定められています。配偶者は常に相続人となり、それに加えて第1順位が子(子が先に亡くなっていれば孫)、第2順位が直系尊属(父母・祖父母)、第3順位が兄弟姉妹です。上位の順位の人が一人でもいれば、下位の順位の人は相続人になりません。

見落とされやすいのが、子のいない夫婦のケースです。配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹(すでに亡くなっていれば甥・姪)が相続人となるため、配偶者だけで手続を完結できず、義理の親族との話し合いが必要になります。

相続手続には期限のあるものがある

手続 期限
相続放棄・限定承認 相続の開始を知った日から3か月
準確定申告 同4か月
相続税の申告・納付 同10か月
遺留分侵害額請求 侵害を知った時から1年
相続登記(不動産の名義変更) 取得を知った日から3年(2024年4月より義務化)

期限のない手続もありますが、時間が経つほど相続人が増える(数次相続)、書類の取得が難しくなるといった形で難易度が上がる傾向があります。

遺言書があるかどうかで手続が変わる

遺言書がある場合は原則としてその内容に沿って財産を分けます。ない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の合意を得る必要があります。一人でも合意しなければ協議は成立しません。

成年後見制度の概要

認知症、知的障がい、精神障がいなどにより判断能力が十分でない方を、法律面・生活面で支える制度です。大きく2種類に分かれます。

法定後見

すでに判断能力が低下している場合に、家庭裁判所に申立てを行い、後見人等を選任してもらう制度です。本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型があります。誰が後見人になるかは家庭裁判所が決めるため、親族が申立てても第三者の専門職が選任されることがあります。

任意後見

判断能力があるうちに、将来支援してもらう人と支援内容をあらかじめ契約で決めておく制度です。契約は公正証書で作成する必要があります。判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点で効力が生じます。

自分で後見人を選べる点が法定後見との大きな違いですが、判断能力があるうちにしか契約できません。

よくあるご質問

相続の手続は、必ず専門家に頼まなければならないものですか。

法律上の義務はなく、ご自身で行うことも可能です。相続人が少なく、財産の内容も明確な場合は、ご自身で完結させる方も少なくありません。戸籍が複数の役所にまたがる場合や、相続人の人数が多い場合に手間が増えやすい傾向があります。

相続人の中に連絡の取れない人がいる場合はどうなりますか。

遺産分割協議は相続人全員の参加が必要です。所在が分からない場合は、戸籍の附票から住所を調べる、それでも判明しなければ家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる、といった手順を踏むことになります。

相続放棄をすると、生命保険金も受け取れなくなりますか。

受取人が特定の相続人に指定されている生命保険金は、受取人固有の財産と扱われるため、相続放棄をしても受け取れるのが原則です。ただし受取人が「被相続人」と指定されている場合は相続財産となり、扱いが異なります。